「真の美しさとすこやかさ」をもたらすYON-KAな人々〜イラストレーター 大野 舞さん①

「レスパス ヨンカ表参道」のバースデーカードをはじめ、書籍や広告など幅広いジャンルで活躍中のイラストレーター大野舞さん。世界中を旅して磨かれた感性が描く寓話のような作品を、誰もが一度は目にしたことがあるのでは。大野さんの独創的な世界観と透明感あふれる人柄に迫ります。自然の一部分である「ひと」として、「女性」として、自分らしく生きるヒントがありました。


女性はどうとでも変われる、その「柔軟性」がおもしろい


―― 今年で10冊目となるカレンダーを拝見させていただきました。2014年のテーマが「プリミティブ・リズム」ということですが、そのテーマにしたきっかけなど教えてください。

毎年、その1年で自分が体験したことをもとにテーマを決めて作っているカレンダーなのですが、2013年について考えてみると、やはり妊娠出産という体験が大きくて、動物としての自分みたいなものを感じることが多かったことがこのテーマについて考え始めたきっかけです。

大昔から、人は出産することで同じように増えてきて、子どもを生み育てるということは、人間の女性がずっと繰り返してきたことだな、と思うようになりました。「プリミティブ・リズム」は「原始のリズム」という意味なのですが、子育てをしながら、現代の女性と原始時代の女性と重なって思えたことがあって、古代も今も変わらないような人間の営みに興味を持ちました。
本質的な人間の営みってなんだろうと考えた時に、笑うことや表現すること、働くことや食べること、眠ることや遊ぶこと・・・などのエッセンスの繰り返しなんじゃないかな、と思ったので、それを12か月分のテーマで表現してみることに決めました。


―― 人間の本質的な営みや生きることについて、出産後は考え方が大きく変わりましたか。

時間がかかった難産だったのもあり、これまでの自分の身体ができることの限界を超えて世界が変わったように思えました。大げさかもしれませんが、臨死体験のようだったので!(笑) 臨死体験をした方は、生還してから性格が変わるとか、生きることに対して見方が変わるといいますが、まさにそんな感じで、自分の考え方にも大きく影響しました。おなかの中にいたはずの子どもをはじめて抱っこした時には、突き上げてくるような温かさと、生命の神秘を感じました。

人間の本質的な営みや生きることについては、それまでもテーマとして考えてはいたので、まったくゼロから出てきたことではないですが、やっぱりそういう体験を機にもう一度見つめ直して、改めて考えてみたというのは大きいと思います。


―― 大野さんの作品では、女性がモチーフになっていることが多いように思いますが、「女性」というのは作品を創る上でも大事な存在ですか。

自分が作品として描く場合、踏み込んでいけないものは描けないんです。人間は自分も含めて、自分の視点で世界を見ることしかできないので、やはり男性よりは女性について考えることが多いですし、描きたくなります。
女性は、 掘り下げても、掘り下げてもわからないことが多くて、描くごとに新鮮な発見があります。どうとでも変われる、その柔軟性がおもしろいなぁと思います。出産でも骨盤が動いたり、皮膚が伸びたりと、身体もものすごく変わるので、ネイチャーとしてそういった「変化」に堪えられるように出来ているのかなあと思いました。
どちらが良い悪いではなくて、ただ違うというか、男性はかたくて形ができているイメージなのに対して、女性は流動的で動いているイメージなので、その揺らぎみたいなものを描きたいと思っています。


―― 作品によって、女の人の違う側面を描いているんですか。

大野舞さん揺らぎみたいなものは表現していても、私の場合は、見る人に「どういう側面なのか」を想像してもらえたらいいなと思います。ものすごい表情の人は描かないんです、例えばものすごい笑顔とか、泣き顔とか。どちらかというと、能面のような感じで、そのときそれを見る人によってどうとでもとれるようなものを描きたいんです。悲しいときに見ると悲しくも見える、幸せなときに見ると幸せに見えるような。

そこに見る人が何かを映せる余白みたいなものを作れるように、あまり偏ったり込みすぎたりしないで、なるべくニュートラルな、「真ん中」にいるような気持ちでいようと思っている気がします。
あとは、女性と同じくらいの比率で植物とか動物を書いている割合も高いです。根本的に、植物も動物も人間もこの世界への現れ方が違うだけで、あまり変わらないと思っています。同じように地球に生きていて、同じように水と太陽がないと生きていけないものなので。

> ②に続く



PROFILE:
イラストレーター 大野 舞

2003年慶應義塾大学環境情報学部卒業後、株式会社マッキャンエリクソン入社。戦略プランナーを経て、2006年独立。アラスカへの留学や世界一周など、様々な旅の経験から生まれる作品は物語性と 空想性に富み、現在は旅する絵描き「デナリ」として書籍や雑誌、広告などの分野を中心に幅広く活動中。

「日本の神様カード」「日本の神託カード」(ヴィジョナリー・カンパニー)、絵本「星つむぎの歌」(文:覚 和歌子 響文社)、「ザグドガ森のおばけたち」(文:やえがしなおこ アリス館)など。
2009年毎日新聞にて連載された「もしもし下北沢」(よしもとばなな)では装幀・挿画を担当。
自著に「スピリチュアルかあさん~見えない何かと仲良しな日々~」「スピリチュアルかあさんの今よりもラクに生きる魔法」(メディアファクトリー)がある。その他毎年テーマを変えてオリジナルのカレンダー制作を行っている。

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